FC2ブログ

Home > スポンサー広告 > 落陽

スポンサーサイト

  • --------
  • スポンサー広告
  • twitterでつぶやく
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Comments:-

Comment Form

Trackback+Pingback:-

TrackBack URL for this entry
http://duskdark.blog35.fc2.com/tb.php/116-eb66c001
Listed below are links to weblogs that reference
スポンサーサイト from 低速ギアで全速力

Home > スポンサー広告 > 落陽

Home > 老人 > 落陽

落陽

  • 2010-08-09
  • 老人
  • twitterでつぶやく
早朝の総武線には釣り人をよく見かける。はるばる木更津か富津あたりまで出かけるらしい。知人はそれらの復路に乗り合わせた。車内に入って回りを見渡すと満席である。頽齢の釣り人は大声で言う。
「ああ、ダメだ。ああ、座れない。ああ、ダメだ。立ってならない。ああ、疲れた…」
知人は還暦を少し過ぎたばかりだが、膝が悪く、仕事を終えると立っているのはつらい。それでも、遊び帰りのハゲオヤジのために席を譲ってあげた。吐息混じりに嘆くその声が聞くに堪えないという理由で。
そうかと思うとこんなこともあったと話してくれた。
その日は同僚と一緒に同じ電車で家路についた。駅を過ぎるごとに車内は老人で満たされ、着座している眼前に顔中シワシワのシミだらけの爺さんが圧されてやってきた。先に立ったのは普段から歳より若く見られることを自慢にしている同僚のほうだった。
「どうぞお掛けください」
「いえ!先輩に悪いですから座れません!どうぞお座りください、先輩!」
同僚はヨボヨボの爺さんから思いがけない言葉が発せられたので言葉が出なかったそうである。
「わたしって本当はどうなの?本当は老けて見えるの?」
翌日、顔を引きつらせそんなことを訊いて回ったそうだ。

老人には老人の争いがある。

人間誰であっても自分の稼ぎで飯を食えるようになるまでは、親なり身内なり社会なりの世話を受ける。そこまで20数年かかる。親にしてみれば接ぎ穂のような歳月である。そこからうねったり曲がったり下ったり登ったりしながら仕事をする時間がすくなくとも40年、余程のことがない限り働き続ける。定年を迎えてなお転職する人もあるだろうし、引退して悠々閑々と暮らす人もあるだろう。そこから先の時間はそれぞれで、10年になるか、20年になるか、40年を超えるかも分からない。そのどこかの地点で肉親の世話をする機会があって、親が子に費やした食えるようになるまでの20数年分の報恩の時となる。自分の思い通りになる時間というものはそれほど多くはない。かつてはこれが普通だった。兄弟に分散された肉親への報恩も、少子化に拠って負担増となり、これを犠牲と捉えて相互に峻拒するケースもあるだろうし、気楽を選ぶ人もあるだろうと思う。自由と金を天秤に盛って、もっともバランスの取れた、現実的な選択となる。その現実の一面が、年間3万人を超える孤独死である。

自らのちからをベースに、世の中や政治がどういう扱いをしてどういう老後が待っているのか、手前の世代がじっと見つめている。このまま社会システムの重心を老齢社会の側にずらすことをしなければ、歳を取るのはどうやらあまりいいことでもなさそうだ、老人との隔絶がレンズになってそうした感覚が備わって来ている。老人一人一人はそれぞれに、良いときも悪いときもあって、人生の落霞は案外ああ見えて幸福なのかも知れないのに、幸福は誰にも共通で、まとめて何グラムと計れるものだと思ってるから見ていてつらくなる。

名前を与えられ、生きてる間にしたことで、作品ができあがる。何もしないことでさえ表現の一つであるならば、生きることの値打ちは冒険か創造にある。10年ほどまえ、どこに至上価値を置くか考えに考えてこの二つを志操とした。これを支える物は何であろうかと思いあぐね、冒険も創造も遊びの果てにありそうだということになった。遊びには、擬態、模倣、偶然、眩暈の四態があると言ったのは誰であったか。

Comments:0

Comment Form

Trackback+Pingback:0

TrackBack URL for this entry
http://duskdark.blog35.fc2.com/tb.php/116-eb66c001
Listed below are links to weblogs that reference
落陽 from 低速ギアで全速力

Home > 老人 > 落陽

プロフィール

野牛

Author:野牛
商才無きウェブ制作&ITコンサル。ピアノ弾きと絵描きと書家を無条件で尊敬する。晴耕雨読、船旅で四方の朝焼けを見るのが夢。

Recent Comments
Recent Trackback
Search
Meta
Links
Feeds
QR Code

Page Top

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。